キーウィとプケコの金融投資講座④ プケコレシオと手数料(神回)
Ah!標準偏差のメガネを通してみると、世の中はなんて確率的に構成されているんだろう!僕は量子力学を支持するね、キーウィ。
そうだね。これはスキヤキ職人に限らず、世の中のプロフェッショナルとは、成果物の質の標準偏差が小さいことを指すのかもしれないね。さあ、早く始めよう。
よし、キーウィ。今日は手数料の話をしよう。手数料とは1取引ごとに必ず付きまとってくる費用のことを指すのさ。悪魔の呪いと言ってもいい。
悪魔の呪い?
そうだ!多くのプレイヤーはこの呪いによってマーケットから抹殺されるのさ!本当にマーケットはさながら魔物達の巣窟だね。
怖いなあ。普段使っているスーパーマーケットも気をつけよう。ところで、悪魔の呪いを解くことはできないの?
No!不可能だ。但し、定量化することはできる。いいか、定量化することはこの世の真理にアクセスする唯一の鍵だ。よく覚えておくんだ。
確かに、塩コショウ少々とかは分かりにくいものね。賛成するよ。
じゃあ、exerciseだ。キーウィ社の株価は100円。1日1回、買うか買わないか決めることができる。1日の株価の値動きの標準偏差が10円だとすると、68%の確率で、当たる日は10円儲かり、外れれば10円損するわけだ。手数料は1回あたり10円。
うんうん。
それから、同じようにプケコ社の株価は100円。標準偏差は50円。手数料は10円だ。勝率は努力次第でコントロールすることができる。どちらの株で取引手法の構築を試みるかい、キーウィ?
なるほど、そういうことか!!もちろんプケコ社だよ。つまり、図にするとこういうことだね。
Great!キーウィ社は手数料10円に対して標準偏差は10円、つまり、1円の手数料に対して狙っていける損益幅が1円だ。同様に、プケコ社だと1円の手数料に対して狙っていける損益幅が5円になる。この比率を偉大なるシャープ博士にちなんで、プケコレシオと定義することとする!
キーウィ社のプケコレシオは1.0。プケコ社のプケコレシオは5.0と表せるんだね。プケコレシオが高い、つまり、手数料に対する値動きが激しい商品の方が、平均損益がプラスになる取引手法を構築しやすい・・・。
そう!投資の世界は上がるか下がるかのバイナリーの世界さ。100回勝負して51回勝てれば良い世界では、毎回必ず差し引かれる手数料という呪いを最小化することが必須になる。逆に言えば、1単位の呪いに対してどれだけ勝負できるかのプケコレシオを高めることが、勝利の女神へと近づく第一歩なんだ!
(プケコレシオって名前はださいけど)プケコの言う通りだね。そうすると、どの金融商品のプケコレシオが高いのかな。
フフ、2013年の日足の実績から、簡単にまとめてみたよ。
株の銘柄は東証1部と東証2部から適当に選んだ。「68%の確率において、1日あたり買ったらいくら負けたらいくら」は、5番の終値差分標準偏差(日足ベース)で示している。14番のプケコレシオを見れば、いかに現物株と比べて先物やFXが僕たちの戦略にとって有利な商品か分かるだろう!
本当だね。例えば同じFXでも、ポンド円はプケコレシオがドル円の半分以下だね。
そう、ポンド円は値動きが激しいから好む人が多いんだが、2013年の1日単位である日足ベース取引で見ると、ドル円に対して、ポンド円の手数料の優位性は半分以下だったってことだ。
ポンド円という通貨のクセから勝率を高められるのだったら効果はあるけど、ただ値動きが激しそうだからという理由はプケコレシオによって明確に否定される訳だね。
That's right!これによって、手数料という呪いを定量化できた訳だ!フフ、プケコレシオ、良い響きだなあ。
ところでプケコ。このレバレッジって何?なんだかレバーのような美味しそうな雰囲気がするんだけど?
Fantastic!キーウィ!!よく気がついたね。レバレッジは魔法の刃さ!次回のテーマはこれにしよう。レバレッジを使ってマーケットの魔物たちを串刺しにしてやろうぜ!
(レバーの串刺しに飲み物はファンタ!!!)
任せといて、プケコ!僕、がんばるよ!
(やれやれ。今日は女神や悪魔や魔物など、まさに神回だったな。みんな、キーウィに負けないよう、しっかり復習するんだぞ!)
<今日の名言:プケコ>
・No!不可能だ。但し、定量化することはできる。いいか、定量化することはこの世の真理にアクセスする唯一の鍵だ。
・逆に言えば、1単位の呪いに対してどれだけ勝負できるかのプケコレシオを高めることが、勝利の女神へと近づく第一歩なんだ!
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