キーウィとプケコの金融投資講座③ シャープレシオとスキヤキ鍋
Ahキーウィ!さっきAmazonでスキヤキ鍋を買ったんだけど、どうしてAmazonの星評価は平均しか示してくれずに標準偏差を隠すんだろう。「星5と星1の平均3」なのか、「星3のみの平均3」なのかで、意味合いは大きく違ってくるのに。残念でならないよ。
というわけでプケコ。前回は標準偏差についてお話したんだっけね。株などの保有期間が短ければ短いほど標準偏差が小さいなら、平均損益が同じである限り、保有期間が短く取引機会の多い戦略を取るべきだ。しかし、そこには手数料というトレードオフが隠れている。図にするとこんな感じかな。
Exactly!その通りだ!今日の君はsmartだね、キーウィ。
たとえば、手数料込みで1日の損益プラス100円、標準偏差200円の取引手法がある。この取引手法を改良して取引回数は2倍になるが、1日の損益プラス100円は変わらず、標準偏差を100円に下げることができた。どう思うキーウィ?
確かに結論は正しい。しかし、これまでの話から推察すると、現実では何の犠牲も払わずに標準偏差だけ小さくすることは難しいんじゃないかな。たとえば、標準偏差を小さくする分、保有期間を短くし、取引回数を増やすことで、手数料がかさんで平均損益が毀損するとか。
Wonderful!キーウィ!
取引に対して手数料が線形に掛かるとすると、手数料込みである平均損益と標準偏差は比例する。「標準偏差を小さくする→保有期間を短くする→取引回数が増える→手数料がかさむ→平均損益が下がる」、シンプルなことさ。だから取引手法の評価は・・・
比例するであろう平均損益と標準偏差を割合で求めてやれば良い。平均損益÷標準偏差。これによって、標準偏差に対して平均損益がどのくらい優位であるか示すことができる。68%の確率において損益が1円振れることに対して、平均的に何円儲かるかを示せるわけだね。
そうだ!キーウィ。これをシャープレシオと呼ぶこととする。平均損益プラス100円、標準偏差200円の先ほどの例で言えばシャープレシオは0.5。68%の確率で1円ぶれるけど、平均すると0.5円儲かることを意味する。気取って言えば「1円のリスク量に対して平均リターンは0.5円」とも言えるね。
つまり、たとえば手法を改良して標準偏差を100円まで小さくすることに成功しても、手数料が余分に50円かかるなら、平均損益は50円。シャープレシオは同じく0.5で、この改良に優位性は見出せないことになる。
実際は、取引回数による違いがあるけどね。①の手法を年100回行うより、②の手法を年200回行えた方が損益は安定するからね。だから、もし、シャープレシオが最高でも、年1回の取引手法とかは実用できない。年1回しか寿司を握らない寿司職人なんてすぐにfiredだ!
取引回数が多ければ多いほど、実際の損益の平均値は理論値に回帰してくる。大数の法則だね。
同意しよう。僕たちは高いシャープレシオと高頻度の取引機会の両方を求めなければならない。
いいぞ、キーウィ!
だから、僕はAmazonで星評価の平均だけでなくシャープレシオの高いスキヤキ鍋を買いたいね。安定して高評価ってことだからね。
なるほど、ただ、Amazonにその機能を実装してもらうには、一人一人が標準偏差やシャープレシオを理解するリテラシーを高める必要があるね。
その通りだ、キーウィ。ここまで理解しているのなら、次回は、先に取引手数料と金融商品との関係について考察しておこう。ここを理解すれば、たとえば、FXが世間で言われているよりも凄まじく健全な商品だということなどが分かるだろう。
さあ、進もう!すべては、僕たちの夢のために!
(そう、すべては、スキヤキのために!)
(凄いぞ、キーウィ!いっぱい勉強したんだね。今日は真面目な話だったので、下段にキーウィの読んだ本を紹介しておきます。)
<今日の名言:キーウィ>
・平均損益÷標準偏差。これによって、標準偏差に対して平均損益がどのくらい優位であるか示すことができる。
・同意しよう。僕たちは高いシャープレシオと高頻度の取引機会の両方を求めなければならない。
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